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『アジャパーWEST』などという得体の知れないヘンテコな名前の雑誌を手にとっていただき、ありがとうございます。「アジャパー」というのは「アミューズメント・ジャーナリスチック・パーク」の略です。いわば「紙の公園」ですね。だから、表紙も公園の写真なんです。で、毎回巻頭で「アジャパーな公園」をガイドしていくことにしました。まあ、雑誌によくある巻頭エッセーの代わりと思って下さい。栄えある「アジャパーな公園」指定第1号は、大阪府豊中市にある「服部寿町4丁目児童遊園」と周辺の公園です。 「服部寿町4丁目児童遊園」は大阪空港の近くにあります。最寄り駅は阪急宝塚線服部駅。服部から西へ歩いて阪神高速空港線の近く…と言ってもピンと来る人は少ないでしょう。マイナーな地域ですから。私、大西は、この近くで働いているのですが、7〜8年前のある日、この公園で野球をやろうということになりました。案の定、集まりは悪く、キャッチボールの後ノックをしていた時でした。隣にある工場から、公園の管理を任されているとおぼしき、おじさんが飛んできました。 「ここで野球したらアカンて書いてあるでしょ」 確かに、野球(中学生以上)・ゴルフ禁止の看板があります。ま、キャッチボールならエエやろ、と気を取り直して1球、2球…。 「ちょっと座れや。ピッチャーやるわ」と言った瞬間でした。 「野球やったらアカンて言うてるでしょ。守って下さいよ!」 「キャッチボールもアカンのですか?」 「あきません!!」 う〜ん、仕方がない。でも横を見るとソフトボールが落ちています。これなら…と再び。調子に乗って打ちまくっていると、やはりおじさんは血相を変えて飛んできました。 「何べん言うたらわかるんですか!!」 「いや、ソフトボールですよ」 「あっ…。それなら、いいんです…」とおじさんは、すごすご帰って行きました。 んなアホな。軟球よりソフトボールの方が、場合によっちゃ危ないですよね。 なんてステキな味のあるおじさん、と思っていたら、その公園に気になる看板があるのを見つけました。
確かに、この公園のあたりは飛行機がおりてくる直下にあたり、騒音が激しい地域です。でも、騒音対策になぜ公園なんやろ? 「別に批判するためと違いますから教えていただきたいんですけど、なんで騒音対策で公園なんですか?」 「昭和49年に騒音防止法が全面見直しされまして、基盤施設を整備するのに国から補助金が出るようになったんですね。1種、2種、3種の騒音指定地域がありまして(普通1種が一番ウルサイのかと想像するが3種が一番ウルサイ地域)2種、3種指定の世帯が、騒音を理由に引っ越した場合、国の移転補償制度によって(国が土地を買い上げて当事者に補償を行うシステム)お金が出るようになったんですね。それで引っ越しする人が増え、跡地は緑地にしていたんですが(土地を豊中市に貸して管理・維持を一任)、昭和50年過ぎ、土地の有効利用ということで、緑地を公園にしたんです。まあ防災用という意味もありますし…」 「結構、狭い地域に集中してますよね?」 「ええ、音というのは少しコースから外れるだけで全然違いますからね」 なるほど、地図を見れば一目瞭然。公園が点在するのは、ほぼ飛行機のコースに沿ってです。大発見!! この周辺では、現在再開発事業が行なわれているようですが、元々空き地が多く(緑地化されていない更地の国有地も多い)車が路上に棄ててあるような地域です。さらに震災被害(隠れた被災地です)、その後の不況で民家も工場や倉庫もずいぶん減りました。ほとんど何も建っていないといった方がいいのが現状です。僕らが野球をやっていて怒りに来たおじさんがいた工場も、なくなって空き地になっていました。 「服部寿町4丁目児童遊園」に限っていえば、かなり大規模でよく整備されていて、子供やお年寄りの方が利用している姿をよく見ますが、周辺の、1軒の家の敷地をそのまま児童遊園にしたかのような小さな公園は、さびれきっています。きわめつけは「利倉東2丁目散策遊園」でした。迷路のようになった空き地の柵の間を通っていくと、中央に木が植えられた長さ50メートルほどの細いレンガ敷きの歩道が姿をあらわしました。これが「散策遊園」でした。歩道の先は柵で行き止まり、Uターンするとギリギリのスペースに軽自動車が止めてあり通れないようになっていました。どこを「散策」すればいいんでしょうかね。「散策遊園」にたどり着くまでの方が「散策」気分でした。 それにしても…そもそも公園の成り立ちというのは、人がいて遊び場所が必要だからつくられるものだと思っていました。ところが「騒音対策事業」の公園は、人がいなくなったからできた公園なのです。「アジャパーな公園」に指定します。(純) ◆メモ 「服部寿町4丁目児童遊園」は阪急宝塚線、服部または庄内駅から西へ徒歩15分。車なら阪神高速池田線の沿道と大阪内環状線が交差する「上津島」交差点から東(吹田方向)へ2つ目の信号左角。ほぼ真上を飛行機が通る。その飛行機を追いかけ北西方向へ進むと空港までの間に「騒音対策事業」の公園が点在している。空き地や工場越しに見える阪神高速の高架と、その向こうの六甲の山並みの間に沈む夕日は実に素晴しい。隣の兵庫県伊丹市側にも「騒音指定地域」があり、同様の公園がある。
(写真説明) 殺風景な遊歩道の写真は「利倉(とくら)東2丁目散策遊園」。植え込みの両側のレンガ道だけが「散策コース」だそうな。とびっきりの「アジャパーな公園」だ。 「服部寿町4丁目児童遊園」が騒音対策のための事業であることを示す看板。左上写真は「街の荒廃」に反対する立て札 ◆「アジャパーな公園」見つけて下さい。募集します。 | |